​久保田良則公認会計士事務所ブログ

資金繰りが厳しい原因と改善方法


1.手元資金が少ない 設備の補修代金や税金等、売上とは違うタイミングで支出が必要なものもあるため、毎月同じように入金額と支払額が変動するわけではありません。そのため、ある程度の手元資金を用意しておかないと、多額の支出があった月の支払が滞ってしまいます。 特に、事業の規模が大きい会社ほど大きな支払が発生し、また、月によって売上にばらつきのある会社は入金と支払の差が大きくなるため、このような会社に必要な手元資金は大きくなります。

したがって、多額の支払に耐えられるだけの手元資金をあらかじめ用意しておく必要がありますが、自社の入出金予定を把握していない場合、直前になって資金が足りないことが判明し、資金繰りに苦労することになります。

2.利益が出ていない 利益が出ていなければ、資金が回収できず、どんどん現金が流出してしまうため、資金繰りは悪化します。ただし、損益の中には減価償却費のように直接現金が出ていくものでないものもあり、このような非資金項目を足し戻した結果がプラスであれば、通常の営業からは資金が回収できていることになります。 本業から資金が回収できているかは次の算式で計算したEBITDAによってある程度判断できます。

この数字がマイナスの場合には事業そのものに問題がある可能性が高いです。

3.借入金の返済が重い 金融機関から大きな借入を行って設備を購入する場合、何年かかけて借入を返済していくことになります。多額の借入をしてしまっていたり、返済期間を短く設定してしまっている場合、毎月の返済額が重く、資金繰りを圧迫してしまいます。 一般的に、以下の算式で計算した債務償還年数が5年以内であれば、借入金は適正水準であり、10年を超えるような場合は危険水準になっていると言えます。

また、上記④よりも大きい返済を行っている場合には、事業から回収できる金額で返済できていないため、手元資金がどんどん減少していって、やがて資金繰りが厳しくなります。

4.急激な売上の増加 急激に売上が増加すると、それに対応する仕入等の原価も急増します。多くのケースでは、売上金の入金前に支払いが発生することになりますので、資金繰りが厳しくなります。 例えば、下記のグラフでは、毎月、売上と利益が共に増加しています。

しかしながら、費用の支払が1か月後、売上入金が2か月後である場合、下グラフのように現預金残高は減少し、資金繰りが悪化することがわかります。

5.在庫の増加 在庫に対しては既に支出を行ってしまっています。したがって、「在庫の増加=支払の増加」であり、手元資金の減少要因になるため、資金繰りが厳しくなります。

資金繰りを改善する方法として、オーソドックスなものとしては以下の方法がありますが、資金繰りの悪化は複数の要因が絡んでいるため、実際には、何が問題となっているのか、どのような方策が改善効果が大きいのかを見極める必要があります。 売上代金回収を早める / 支払期日を遅くする これらの方法はお金が早く入ってくる/お金が出ていくのが遅くなるため、短期の資金繰りの改善には有効です。しかしながら、得意先等に合意を取る必要があるため、実行には困難が伴います。 不要在庫を持たない 在庫が減少すれば、その分の支払が不要になるため、短期の資金繰り改善に有効です。在庫管理にあまり力を入れてこなかった会社に関しては、特に有効な方法です。 経費を削減する 経費の見直しを行って無駄な経費を削減できれば、利益と資金繰りの双方に改善効果があります。 不要資産の売却、リース等 事業活動に必要でない資産を売却して現金化することで、資金繰りの改善に役立ちます。また、購入していた資産をリースにすることでファイナンス効果を得られ、短期の資金繰りの改善に役立ちます(リース期間をトータルで考えるとコストは増えます)。 借入を行う 借入をすれば現預金残高が増加するため、短期的に資金繰りは改善しますが、返済負担が増加するため、根本原因が解消されないと、そのうちまた資金繰りが悪化します。したがって、きちんと返済できるか、返済計画を立てた上で実行する必要があります。

自社にあう資金繰り改善策をどうやって見極めればよいか。それには過去の損益計算書や貸借対照表を分析することが有用です。ただし、キャッシュフロー計算書が作成できるのであれば、それを作成・分析することが一番です。 (分析内容) ・営業キャッシュフローがどの程度でているか ・借入を返済できるフリーキャッシュフローがあるか ・債務償還年数が何年か ・在庫が増えていないか ・経費の削減余地はないか ・運転資金は増えていないか これらの分析が終わったら、今後も資金繰りに悩まないためにも、改善策を考慮した資金繰り計画を作成し、継続的にモニタリングする必要があります。 作成する資金繰り計画は、短期的に資金繰りに問題があれば1年計画と1か月計画を作成する必要がありますが、短期的に問題がなければ1年計画のみでも十分です。

資金繰り改善には、現状分析や改善策の策定、改善策を織り込んだ資金繰り計画の作成等が必要であり、会社自身でこれらをすべて行うのは困難が予想されます。 この場合、専門家の助けを得て資金繰り改善が図れる制度が用意されておりますので、これらの制度を活用して、資金繰りの改善を図ることができます。

(1) 早期経営改善計画

資金繰り管理や採算管理などの早期段階からの経営改善の取組む中小企業・小規模事業者を支援するもので、中小企業等が認定支援機関の支援を受けて、経営改善計画を策定し、金融機関に提出することで、自己の経営を見直すとともに適切な情報開示を進めることを目的としたものです。

早期経営改善計画は、次の(2)のような金融支援を前提とするものではなく、また、策定する計画も(2)と比較してかなり簡易なものになっています。

また、認定支援機関が策定する早期改善計画等にかかる費用の2/3(上限20万円まで)について国からの補助が受けられます。

中小企業庁ホームページ>

資金繰り管理や採算管理等の早期の経営改善を支援します

(2) 経営改善計画策定支援事業の利用

借入金の返済負担等、財務上の問題を抱えていて、金融支援が必要な中小企業・小規模事業者を対象として、認定支援機関が中小企業・小規模事業者 の依頼を受けて経営改善計画などの策定支援を行うことにより、中小企業・小規模事業者の経営改善を促進する制度です。

一定の要件の下、認定支援機関が経営改善計画の策定を支援し、中小企業・小規模事業者が認定支援機関に対し負担する経営改善計画策定支援に要する計画策定費用及びフォローアップ費用の総額について、経営改善支援センターが、3分の2(上限200万円)を負担します。

手元資金が潤沢な一部の企業を除き、多くの企業において、毎月の資金繰りは大きな課題です。経営者の方の中には、「借入=悪」というイメージを持たれてしまっていて、事業が順調にも関わらず資金繰りが逼迫すると、無理な金策を行っている方もいますが、本当に「借入=悪」でしょうか。 答えは「No」です。企業が成長するにはお金が必要であり、規模が大きくなればなるほどその必要額は大きくなります。もちろん会社の返済能力を超えて無謀な借入をしてはいけませんが、しっかりとした返済計画に基づいて借りたお金は、会社を発展させるアクセルとなり、寧ろ必要不可欠なものです。 会社は赤字の場合でも資金があれば倒産することはありません。逆に、黒字の場合でも資金が無くなれば倒産してしまいます。したがって、会社を健全に運営していくためには、資金を十分に確保し、管理していくことが重要です。 経営者が資金繰りのことで頭がいっぱいになってしまうと、通常業務にも支障をきたすこともあるため、できるだけ余裕をもって日頃から資金管理を適切に行っておくことをおすすめします。

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​プロフィール

久保田良則  (公認会計士・税理士)

 

業務エリア:

​東京23区、埼玉、千葉、神奈川

Email: info@kubota-cpa.com 

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